私が自己の思い出をもとに書いた完全オリジナル小説
バーバー田中のせっちゃん 夏休みの村
昭和40年代の風景に癒やされる、大人のための優しい物語です。
人は幼いころから、小さな失意や喪失感を重ね、本当のぬくもりや優しさに気づいていきます。かけがえのない大切なものに気づいていきます。
そして、少しずつ心が成長していきます。
バーバー田中は、田園風景の中の小さな集落の外れにありました。
壊れたジュークボックスの横にある、ソーダ―の瓶が入ったケースの上には、小さなレコードプレイヤーがありました。流れてくるのは、今は懐かしい、オールデイズの1950年代、60年代のアメリカの曲ばかり。
バーバー田中のせっちゃんは、曲がった腕とまっすぐにならない指を軽快に振りながら、リズムに合わせて踊ります。くねっと曲がった足もとも、リズムにあわせて軽快に飛び跳ねます。
『だいじょうぶだど。うつんねぇから、だいじょうぶだど。もう治ったんだよ』
せっちゃんは、明るい声でそう言った。
まるで、私を驚かせてしまい、申し訳ないというように、
「だいじょうぶだど、うつんねよ」
私は、いったい、この子に何を言わせているのか。
あの夏の日、
ポリオで足と手がまがったままのせっちゃんと私は特別の絆ができた。
せっちゃんやせっちゃんの家族を思い出すたびに、元気を取り戻すことも多かった。
時は過ぎて、20年以上たった頃、
私は、胸の中であふれる涙と共に、あの村に向かった。
誰よりも大好きだった祖母にお別れをするために。
そして、村から引っ越しをして、今は、その隣町に住む
せっちゃんや、せっちゃんの家族に会うために……。
誰にでもある幼い日の思い出。
これは、昭和の抒情詩です。
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“小説書いてる人”としてのブログが別にあります。
『私の昭和奏鳴曲 Sonata』
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